気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
　会社関係の人との飲み会や親睦会に行っても、いつもイメージを壊さないよう気を遣っていて、楽しいと思ったことはなかった。

　楽しい余韻に浸っていると、ボールを持った男の子たちが前にやってきた。

「凜ちゃん、ドッジボールやろう！」
「食べて少し休憩したの？」

　凜香の問いかけに子どもたちが口を揃えて答える。

「うん」
「わかった、じゃ、やろうか」

　凜香が立ち上がったとき、透也も腰を上げた。

「俺も混ぜてくれる？」
「いいよ。でも、それじゃ人数が合わなくなるから、成樹くんのお父さんも入って」

　男の子の一人に言われて、康人が笑いながら立ち上がる。

「ようし、任せとけ～」

　そうして始まった大人と子ども混成のドッジボールは楽しいものだった。遊んでいるうちに知らない子どもたちも混ざり始め、どんどん子どもたちの歓声が大きくなる。

　小学校低学年でも上手な子が投げるボールはとても強い。狙われた凜香が後ろ向きに走りながら飛んできたボールを受けようとしたとき、背後にいた透也とぶつかって左肘から倒れてしまった。ボールは凜香の手からこぼれて転がっていく。
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