気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
そうして夕方まで思いっきり遊んでいるうちに、一家族が帰り、二家族が帰り……とだんだん公園で遊ぶ子どもの数も減っていった。透也が木陰でペットボトルのスポーツドリンクを飲んでいると、凜香が近づいてきた。
「私たちもそろそろ帰りましょ」
「そうだな。すっかり夢中になって遊んでしまった」
凜香がレジャーシートに座っている涼香と康人に歩み寄る。
「お姉ちゃん、康人さん、また来るね」
「うん、いつもおもちゃをありがとう」
涼香に言われて、凜香がいたずらっぽく笑って言う。
「どういたしまして。市場調査ができるし私も助かってる」
「ごちそうさまでした」
透也が弁当の礼を言うと、涼香と康人が笑った。
「また来てくださいね」
透也と凜香が帰ろうとしているのに気づいて、砂場で遊んでいた成実が駆け寄ってきた。
「凜ちゃん、また来てね!」
「うん」
「次は〝レット・イット・ゴー〟のオルゴール、忘れないでね」
「もちろん」
凜香が成実の頭を撫でて、グラウンドを見渡した。キャッチボールをしている成樹の姿を見つけて、手を振る。