気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
第二章 偽りデート
 翌朝、凜香はいつも通りナチュラルにファンデーションを馴染ませたあと、アイカラーは夏らしいきれいなブルー系を使った。二重で切れ長の目をパッチリ黒目のかわいらしい目に見せたくて、ファッション誌を参考に研究したこともあるが、うまくいかなかった。どのみち長身の凜香には、ドングリ眼よりも切れ長の目の方がバランスがいいのだが。

(普段の私を見て、子どもっぽいダサい女、なんて思われたくないもんね)

 そして昨日会社帰りにデパートで買った新色のグロスをつける。

(うん、見た目より発色が柔らかくてきれい)

 店員さんに勧められたときは少し派手かな、と思ったが、昨日試しに塗ってもらったときも今も、大人っぽいピンク系が凜香の雰囲気と肌に合っている。

 新しいコスメというのは、それだけで気持ちを浮き立たせてくれる。凜香はワクワクしながら、いつもは後頭部でまとめている髪を左耳の下で緩くまとめ、ライトブルーのフェミニンなカットソーにホワイトのカルソンパンツを合わせた。

 姉に車を借りて運転するつもりなので、会社で履いている十センチヒールではなく、ローヒールのパンプスを履く。

(なんかドライブデートらしい感じ?)
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