気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「ずっと幼馴染みのお兄ちゃんってぐらいに思ってた。でも、中一のとき、私、急に背が伸びちゃって、男子に〝デカ女〟ってからかわれてたの。毎日のようにこっそり泣きながら帰ってきた私を、ある日、たまたま家にお裾分けを届けに来てくれた康人さんが見つけて……慰めてくれた。そして〝背の高さを活かせるバレーボールでもやってみたら〟って勧めてくれて。それで、私、中学・高校ではバレーボール部に入ったの。背の高さなんて気にしなくてよくなって、すごく楽しかったし明るくなれた。それを康人さんのおかげだって思ったら、康人さんのことが……」
凜香は小さく息を吐いた。
「でも、康人さんはお姉ちゃんのことがずっと好きだった。大学生のとき、昨日行ったイタリアン・レストランで、康人さんに恋愛相談されたの。そのとき私は失恋し、その二年後に二人が結婚して、私の恋が実らないことは確定したわ。それなのにいつまでも康人さんを想って……お姉ちゃんに双子の子どもが生まれたときは、赤ちゃんを見せてほしいって言いながら、康人さんに会いに行ってた。私、そういう最低でいやらしい女なの」
透也が左手を伸ばして凜香の右手をそっと握った。
「凜香は今でも彼のことを……?」
凜香は小さく息を吐いた。
「でも、康人さんはお姉ちゃんのことがずっと好きだった。大学生のとき、昨日行ったイタリアン・レストランで、康人さんに恋愛相談されたの。そのとき私は失恋し、その二年後に二人が結婚して、私の恋が実らないことは確定したわ。それなのにいつまでも康人さんを想って……お姉ちゃんに双子の子どもが生まれたときは、赤ちゃんを見せてほしいって言いながら、康人さんに会いに行ってた。私、そういう最低でいやらしい女なの」
透也が左手を伸ばして凜香の右手をそっと握った。
「凜香は今でも彼のことを……?」