気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
第七章 ショコラより甘く蕩けて
その晩あまりよく眠れなかった凜香は、翌朝、ぼんやりした頭で目を覚ました。透也とどんな顔をして向き合えばいいのかわからない。
(あー、もう、ずる休みしたい)
けれど、もちろんそういうわけにはいかず、せめて気分だけでも上げようと、お気に入りのベージュのスーツと、嫌味課長を見下ろすために十センチヒールで出社した。
エレベーターで企画開発部のある五階で下り、自動販売機コーナーでブラックの缶コーヒーを買ってオフィスに入る。
「おはようございます」
オフィスを見回したが、透也はまだ来ていない。凜香はすでに出社している数名の社員に挨拶しながら、ロッカールームに向かった。
ジャケットを脱いでハンガーに掛け、ロッカールームから出たとき、オフィスの入り口のドアが開いて、チャコールグレーのスーツ姿の透也が入ってきた。
「おはようございます、七瀬さん」
名字で呼ばれてしまうと、昨日と一昨日の出来事がまるで幻だったかのように感じてしまう。
「おはよう、葛木くん」
(なんか……胸が痛い)
(あー、もう、ずる休みしたい)
けれど、もちろんそういうわけにはいかず、せめて気分だけでも上げようと、お気に入りのベージュのスーツと、嫌味課長を見下ろすために十センチヒールで出社した。
エレベーターで企画開発部のある五階で下り、自動販売機コーナーでブラックの缶コーヒーを買ってオフィスに入る。
「おはようございます」
オフィスを見回したが、透也はまだ来ていない。凜香はすでに出社している数名の社員に挨拶しながら、ロッカールームに向かった。
ジャケットを脱いでハンガーに掛け、ロッカールームから出たとき、オフィスの入り口のドアが開いて、チャコールグレーのスーツ姿の透也が入ってきた。
「おはようございます、七瀬さん」
名字で呼ばれてしまうと、昨日と一昨日の出来事がまるで幻だったかのように感じてしまう。
「おはよう、葛木くん」
(なんか……胸が痛い)