気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
それでも、今は会社だ。その気持ちは胸の中に隠した。隠すのなら得意だから。
透也と凜香はそれぞれ違うシマにある自分のデスクに着いた。凜香はパソコンを立ち上げ、透也はビジネスバッグから薄い紙の束を取り出し、仕事の準備を始める。
ほかの社員も出社し、やがて始業時刻近くに課長がオフィスに入ってきた。
「おはよう」
「おはようございます」
課長が席に着くやいなや、透也がパッと立ち上がって近づいていく。
「課長」
「何だ」
「新しい企画を考えてきました」
「そうか。ミミズの次はダンゴムシでも付録にするのか」
課長の馬鹿にしたような言葉を聞き流して透也が言う。
「いいえ、ソーラーラジコンカーです」
「ソーラーラジコン……?」
「はい。企画書を作ってきました。ぜひ目を通してください!」
透也がさっきの紙の束を差し出した。昨日凜香と別れてから、自宅で作成してきた企画書だろう。凜香は自分が企画書を提出したときのように胸がドキドキしてくるのを感じて、課長の顔を見守る。
「ふむ……」
課長が眉間にしわを刻みながらパラパラとページをめくっていたが、やがて顔を上げた。
透也と凜香はそれぞれ違うシマにある自分のデスクに着いた。凜香はパソコンを立ち上げ、透也はビジネスバッグから薄い紙の束を取り出し、仕事の準備を始める。
ほかの社員も出社し、やがて始業時刻近くに課長がオフィスに入ってきた。
「おはよう」
「おはようございます」
課長が席に着くやいなや、透也がパッと立ち上がって近づいていく。
「課長」
「何だ」
「新しい企画を考えてきました」
「そうか。ミミズの次はダンゴムシでも付録にするのか」
課長の馬鹿にしたような言葉を聞き流して透也が言う。
「いいえ、ソーラーラジコンカーです」
「ソーラーラジコン……?」
「はい。企画書を作ってきました。ぜひ目を通してください!」
透也がさっきの紙の束を差し出した。昨日凜香と別れてから、自宅で作成してきた企画書だろう。凜香は自分が企画書を提出したときのように胸がドキドキしてくるのを感じて、課長の顔を見守る。
「ふむ……」
課長が眉間にしわを刻みながらパラパラとページをめくっていたが、やがて顔を上げた。