気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
そんなことを考えると涙が浮かんできて、思わず両手で顔を覆った。
(なんでこんなことになっちゃったんだろう……。いっそ慣れているふりをして抱かれたらよかった)
どうして自分から好きな人を手放してしまったんだろう。
でも、あんなにも本当の凜香を知りたがっていた透也に、嘘をついたまま抱かれるなんてできなかったのだ。
やり場のない気持ちでため息をついたとき、インターホンの軽やかな音が部屋に響いた。掛け時計を見ると午後八時だ。
(宅配便かな)
面倒くさいので居留守を決め込む。
(ただいま留守ですから)
息を潜めてじっとしているのに、再度インターホンが鳴った。宅配便ならここで諦めて帰るはず。そう思ったが、さらにもう一度インターホンが鳴る。
(新聞の集金かな? 仕方ないな……)
のろのろと起き上がって、インターホンの通話ボタンを押した。
「はい」
「透也です」
ついさっきまで考えていた相手の声が聞こえてきて、凜香はハッと息を呑んだ。
「どうして……」
「とにかく開けて」
「え」
「暑いからヤバイんだよ」
「ヤバイって何が」
「いいから早く開けろって。開けたら説明する」
(なんでこんなことになっちゃったんだろう……。いっそ慣れているふりをして抱かれたらよかった)
どうして自分から好きな人を手放してしまったんだろう。
でも、あんなにも本当の凜香を知りたがっていた透也に、嘘をついたまま抱かれるなんてできなかったのだ。
やり場のない気持ちでため息をついたとき、インターホンの軽やかな音が部屋に響いた。掛け時計を見ると午後八時だ。
(宅配便かな)
面倒くさいので居留守を決め込む。
(ただいま留守ですから)
息を潜めてじっとしているのに、再度インターホンが鳴った。宅配便ならここで諦めて帰るはず。そう思ったが、さらにもう一度インターホンが鳴る。
(新聞の集金かな? 仕方ないな……)
のろのろと起き上がって、インターホンの通話ボタンを押した。
「はい」
「透也です」
ついさっきまで考えていた相手の声が聞こえてきて、凜香はハッと息を呑んだ。
「どうして……」
「とにかく開けて」
「え」
「暑いからヤバイんだよ」
「ヤバイって何が」
「いいから早く開けろって。開けたら説明する」