気まぐれ猫系御曹司に振り回されて
「なに……これ……」

 トリュフの味も香りもとっくに消えてしまったのに、凜香は夢中で透也とのキスを味わっていた。

「はぁ……あ……すごく……おいし……」

 うっとりと熱い吐息を漏らしたとき、透也が唇を離して凜香の額に自分の額をコツンと当てた。

「今のでリセットされたろ」
「え?」

 とろりとした目で見ると、透也が甘く微笑んでいる。

「今ので恥ずかしいとか怖いとか、ごちゃごちゃした気持ちが全部リセットされたんだろ。だから、今からは俺を味わって」
「透也くんを?」
「そう。トリュフよりも蕩けさせてあげるから」

 透也がそう言って腰をかがめたかと思うと、凜香の膝裏に手を当てて横抱きに抱え上げた。

「きゃっ」
「何も考えずに……俺を感じてほしいんだ」

 透也がささやきながら凜香をベッドにそっと寝かせて、彼女に覆い被さりながら口づける。

「絶対に俺の方が凜香を蕩けさせる自信がある。頭も体も心も……全部ね」

 耳元でささやく透也の声は、トリュフよりも甘い。身につけていた物をすべて脱いで重ねた肌は、蕩けるようにしっとりと吸いついた。
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