禁断の恋~ただ愛されたかった~
そして、また、優くんは喋りだす。

「小さい頃は医者なんて嫌いだとか思ってた。親父も嫌いだった。なんで、医者なんてやってんだとか思ってさ。」

「だけど、病院で一人の女の子にあったんだ。その子さ心臓が悪くて長くないって言われてたんだ。だけどどんなに苦しくても、悲しくてもその子さ笑ってたんだ。」

「今日死んでもおかしくないのに、笑ってたんだ。でさ、俺その子に聞いてみたんだ。なんで、笑ってるのって?そしたら女の子が"笑顔って魔法なんだよ"そう答えたんだ。」

「どんなおもいで、言ったのかはわからない。でもすごく綺麗だった。どんな笑顔よりも。綺麗で儚い笑顔だった。その時に生きるってこんなに素晴らしいんだって思ったんだ。」

「だから、俺医者になるんだ。あの子のためにも、自分のためにも。」

喋り終えた優くんは泣いていた。いつも笑っている優くんが泣いている。

でも笑っていた。あの子のことを思い出しているんだ。

気がつけば私も泣いていた。

なんでかわからない。でも止まらない。

どんどん涙が溢れて行く。

「何泣いてんだよ。」

『優くんだって、泣いてるじゃない。』

「そうだな。どっちもどっちだな。」

『医者。頑張ってね。応援してる。』

ありがとう。そういった優くんはいつも以上に輝いて見えた。


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