王子様、拾いました。
「よかった。喜んで頂けて」
「いただけて、って。長谷部くん私と同じ歳でしょ? 敬語はなしでいいじゃん」
食べ物が美味しいから、私の緊張もほぐれていて、そんなことを口走ってしまった。
そんな私に長谷部くんは少し驚いたみたいだったけど。
「うん、そうだね」
と、柔らかい笑顔を向けてくれたので、また私の胸が少しだけドキッ、と高鳴った。
「あー、美味しかった」
目の前にあったオムライスをペロリ、と平らげて私は上機嫌。
「ところで、長谷部くん。このオムライスってどこのなの?」
一番気になっていたこと。
一体このオムライスはどこのお店のものなのか?
「どこの、っていうか、妹が作ったんだ」
「へえ、長谷部くん妹いたんだぁ。すごい料理上手だねぇ」
「うん。どんな料理でもすぐにパパッって作っちゃう」
まるで自分が褒められたかのように、自慢げな長谷部くん。
「僕、外食とか基本的にあまりしなくて。だから、宇高さんにオムライスって言われた時、まっさきに藍ちゃん……、あ、妹のオムライスが頭に浮かんで」
「妹さん、藍ちゃんっていうの?」
「うん」
「オムライス頼んだ時に、怒られたりしないの?」
「全然。『この間助けてもらった女の子にお礼をしたいから、オムライスを作ってほしい』って言ったら、二つ返事で引き受けてくれたよ」