王子様、拾いました。




「宇高さん……」

「何?」

「今日、藍ちゃんと、どこで別れた?」

「電車の中だよ。私のバイト先、ひとつ前の駅で降りなきゃいけないから」

「そっか。今日はありがとう」

「? ううん、全然。また何かあったら声かけてね。いつでも付き合うから」

「……うん」

それじゃあ、と短い返事の後、通話が途切れた。



それから。

私が校内で長谷部くんを見掛けることも。

藍ちゃんから連絡が入ることも。

なくなった―――



< 28 / 42 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop