王子様、拾いました。
「宇高さん……」
「何?」
「今日、藍ちゃんと、どこで別れた?」
「電車の中だよ。私のバイト先、ひとつ前の駅で降りなきゃいけないから」
「そっか。今日はありがとう」
「? ううん、全然。また何かあったら声かけてね。いつでも付き合うから」
「……うん」
それじゃあ、と短い返事の後、通話が途切れた。
それから。
私が校内で長谷部くんを見掛けることも。
藍ちゃんから連絡が入ることも。
なくなった―――