王子様、拾いました。



私も、ふたりの為に何かしたい。

大好きな、ふたりの為に。

そう思ったら、迷うことなく勝手に言葉が口から出ていた。




「長谷部くん。私は長谷部くんの事が好きです」

「宇高さん……」

「だから、長谷部くんの大事なもの、私にも一緒に守らせて」

長谷部くんと、藍ちゃんの目が真丸く見開かれる。

びっくりするふたりをよそに、私は自分の想いの丈をふたりにぶつけた。

「長谷部くんが藍ちゃんのこと、すごく大事に想っているのは見ていたらわかるから。だから、私にも藍ちゃんを一緒に守らせてほしいの」

「真白ちゃん?」

「藍ちゃんがまだ、ひとりで出歩くのが不安だったら、私が一緒に行く。もし、ずっと藍ちゃんの男性恐怖症が治らなかったら、一生長谷部くんと藍ちゃんの隣にいる!」




言い切った後に訪れるのは、静寂。

チッ、チッ、と時計の秒針の音が耳にはっきり届くくらいの静寂の中。

「ふふふっ」と、鈴のような藍ちゃんの笑い声が聞こえてきた。




「真白ちゃん。それって、蒼くんへのプロポーズ?」

「え? ……あ、あ~っ!!!」

深い考えもなしに言っちゃったけど。

一生隣にいる、って。

そ、そういう風に聞こえちゃうよ、ね……。

「蒼くん。固まっていないで何か言ったらどう?」

ツン、と腕を叩かれて、ハッとしたように長谷部くんが我に返る。

パチッ。

私と目が合うと、たちまち長谷部くんの顔が真っ赤になった。

……イヤイヤ、きっと私の顔も、負けないくらい真っ赤になっているはず。




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