王子様、拾いました。
「みんな、飯まだなら一緒に食べようぜ」
「だねぇ。真白とは昨日会ったけど、クロとシロに会うの久々だもんね」
クロの言葉にうなずく朱音。
「あ、ごめん。私約束あるんだ」
「え? 誰?」
「誰だったっけ……?」
「なんだよ、真白。約束した相手忘れてんのかよ」
「違う違う。そういえば名前聞いてなかったんだって」
ケラケラと笑うクロに蹴りを入れながら、私は昨日起こった出来事をみんなに話した。
「……ということで、今から待ち合わせして、オムライス食べに行くの」
「いいなあ、美味しいオムライスってことは、きっと2丁目の洋食屋さんよね」
「朱音もそう思う? 私もそう予想してるの」
「どうするよ。コンビニのオムライス抱えて登場したら」
「……なんでシロはそうやって人の楽しみを絶っちゃうかなあ」
「でもソイツ男だろ。っていうか名前知らないとか一体誰なんだよ。ついて行って大丈夫なのかよ」
珍しくクロが不機嫌なのがちょっとだけ引っかかったけど、それには構わず朱音が話を続ける。
「で、どんな人だったの?」
「ん~。なんか勉強してて徹夜明けって感じだったから。髪もボサボサでヒゲとかも生えててさ。でも、眼はキレイだったな」
「真白、ひとりで大丈夫か? オレ、一緒に行こうか?」
「あー、もう。クロってばうるさいよ!」
私が叫んだのと、食堂の入口から黄色い歓声が上がったのは同時だった。