惹かれる心と放つ想い
――――放課後


悠人は中学時代の先輩に半ば無理矢理サッカー部の見学に連れて行かれた。

「一人で行くのもなんかなぁ…」

そうボソッと呟きつつとりあえず弓道場を探す。

そこまで大きくない校内ならそうそう迷わないっと思っていた。

迷うまでは。

「あれ?グラウンドにはないし…
どこだよ」


微妙に暖かい日差しも、こう歩き回ると暑い。


「んー、明日悠人にでも聞いて一緒に行くか」

諦めの念が口から漏れだしたその時、春の突風が吹く。


パン!…


「ん?」

それは突風に乗るかのような軽快な音。


パン!!


丁度駐輪場の隣の少々ボロい屋根の辺りから聞こえた。


パン!!!


近づくにつれ軽快だが重いような音に変わる。

駐輪場の横の道を進むと、一番端の的のような物が覗いた。

「弓道場ってここか」

そとには丸く固められた藁。
作りかけの的のような物。

そして

一足のローファー…


入り口から恐る恐る顔を覗かせる。



そこに居たのは、か細い腕で大きな弓を構える女の子だった。



その女の子は落ち着いた表情で流れるように矢を放った。



パンッ!!!



差し込む太陽の仄かな光と、春のそよ風に揺れるポニーテールが輝いた。
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