SECOND プリキス!!
烏丸さんは、一言で言えば完璧な御令嬢だった。
歩くときは音を立てずにしゃなりしゃなりと歩き、時々出会う教師には「御機嫌よう」と可憐に挨拶。「ああ、これが聖カナンのお手本なんやろうな」と感心するほどに、令嬢らしい令嬢。
この子と自分が同い年だと言うことにただただ驚いたし、やっぱりうちは御令嬢としてはかなりの欠陥品なんやなって、改めて自覚。
まぁ、それでへこたれるうちやないけど。
聞けば、烏丸さんは会長さんの妹らしい。
確かに、纏う空気が同じやと思う。
何だか、上に立つもののオーラがあるっていうか。
……まぁ瞳の色が違うだとか何とかは、家の事情もあるだろうから、何も突っ込むまい。
そして、烏丸さんはお兄さんがいるそうだ。
……見てみたいよなぁ。
絶対、美形やん。
うちやって女の子。イケメンに目がないのはこの年代の性(さが)やろ。
会長さんと烏丸さんの親類縁者とか……
「絶っっ対、イケメンやろーなぁ……。」
思わず零したその言葉。
烏丸さんは大きく頷いて、間髪入れずにこう言った。
「うん、多分、かなりかっこいい。」
うちは一瞬ぴくりと固まる。
…………だって、なぁ?
今、言葉遣いが、フツー……だったよな?
「どうしたの?」と烏丸さんは驚くうちに声を掛けた。
聞き間違えや、ない。
やっぱり、この子、普通に喋ってる。
よくよく観察すれば、今この子が纏ってるオーラも威圧感のあるものから、何だかほんわりしてるものに変わってるし。
「烏丸さん、それ素なん?」
「え?」
「今普通やったやろ。言葉。」
「……う、ふふ。気の所為ですわ。」
うちの指摘に、今更感満載で“ですわ”なんて言ってるが、もう色々と理解した。
烏丸さんって、うちと同じ訳ありお嬢様かもしれない。