SECOND プリキス!!




一度ボロを出せばその後は何かもう、芋づる式にボロボロと、ミスをする烏丸さん。



「あの、違うんだって。私は普通のお嬢様ですわ。」

「“あの、違うんだって”ゆうとるやん。」

「はっ。」



何?この子。

今流行りの天然って奴なん?

自分のミスにしまったーと脱力するその姿に、何か可愛くて、思わずクスッと笑ってしまう。

さっきの高貴そうで少しとっつきにくい感じは烏丸さんからもう消えていて。



素(こっち)の方がええな。

何か面白いし、面白いし……えーと……面白いし。




「お願い!この口調のことは、黙ってて。」と。

真剣な顔でお願いされるのはそれからすぐのこと。

理由を聞けば、“烏丸のため”だと彼女は言う。




“烏丸のため”と我が身を偽る彼女と“兵藤のため”に大切なものを置いてきたうち。

なんだか、境遇が似てるなと思った。



うちは今まで、全てにおいて微妙な立ち位置にいた。



ヤンキーだけど、特殊すぎる家のせいで完全なヤンキーでもないし。

お嬢様だけど、ヤンキーだったからそれこそ友達だっておらんかったし。


言わば、孤独。

どっちつかずの身分やったからな。



だからと言って、胡麻をする奴らも気に食わなかったし、家の権力を振るう奴らも大嫌いやったし、ただヘラヘラしてるお嬢様も好きにはなれんかった。




「ねぇ、佳蓮さん。そんなに頑張る必要ないわよ?」


兵藤の為に、色々な事を学びたいと一念発起したうちに、とある御令嬢が不思議そうに告げた言葉。


「どうせ私達は家の為に結婚するだけなんですもの。全ては未来の夫がどうにかしてくれるわ。“女”のわたし達が何かを学んだって、意味がないわよ。」



女が、頑張ることに意味はない?

うちが兵藤の為に出来ることはその身を着飾って夫の横に立っとることだけなんか?



うちはその考えを、受け容れることはしなかった。

せやけど、その考えは確かに正しくもあって……うちの頭から離れることはなかった。



うちのやってることは、全てに無駄なのか?




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