SECOND プリキス!!
「烏丸の為に、私はこの世界で戦うから。」
烏丸さんは、微笑みを絶やさずにこうも言った。
兵藤の為に何ができる?と歯ぎしりしていたうちに降りかかる、いとも簡単な答え。
烏丸さんは、“お嬢様”として家の為に戦うと言う。
その顔に迷いはなくて、強い意思を瞳に宿していて。
うちの知ってるあまちゃんな“お嬢様”はそこにはいない。
そこにいたのは、強くて綺麗な“戦闘者”。
うちの“こうありたい”を、確かに実践している彼女を見て、うちは心の底から嬉しかったんや────
「まぁ、なんて言葉遣い。」
「信じられませんわ……。」
自己紹介の時に、飾らない関西弁を使えば、やはり教室はざわついた。
“兵藤のお嬢様”にあるまじき行動やと思ったんだろう。
けどうちは、これを変えるつもりはない。
“関西弁”はうちのポリシーや。
上辺だけしかみないお嬢様にどう言われても痛くも痒くもないと、黙ったままを決め込んでいた時やった。
「ねぇ、烏丸さん。野蛮だと思いませんこと?」
教室に響いたその声に、うちは烏丸さんに目を向けた。
一見完璧なお嬢様である烏丸さんはやっぱりクラスでも中心的立ち位置にいるらしい。
烏丸さんを見る目が、皆違う。
彼女はしばらく黙っていたままだった。
───なんて答えるんやろ。
人の目もあるし、立場もあるし。別に野蛮だと言われても、まぁ仕方ないと思う……けど。
折角、同じ場所に立ってる子を見つけたから、それは少し悲しいかもしれへんな。
そう思っていたときだった。
立ち上がって、誰もが見蕩れるようなお辞儀をして、烏丸さんは言ったのだ。
「歓迎します。聖カナン女学院にようこそ。」
「……おおきに。」
うちはその時、至って静かに答えたけれど心の中では飛び跳ねるくらい嬉しかった。
だって、さっきあったばかりのうちを、まるで認めてくれるみたいやったから。
嗚呼、この子と仲良くなりたいなんて子供っぽいこと思ったのは何年ぶりだろう。
初めて出会った、うちとよく似た女の子。
心にポッカリと空いた寂しさが、埋まっていくような気がして。