SECOND プリキス!!





「とにかく恵に愛想を尽かしたわけじゃなくて……あの、私、灰音に連れられて来たんです。」

「灰音?………………ああ、ついに行動に移したんですね。」

暫く何かを考えた先輩だったけど、先輩的答えに辿りついたらしい。

その答えは私が知りたい答え。




「先輩……ミューズって、何ですか?」


ずっと知りたかった事を天満先輩に聞く。

長い沈黙が続いたその先には─────






「フハッ」


…………。


「アッハッ……フフッ…………フッ…アーッハハ……」


今までこらえてきた全笑いを爆発はせたような大爆笑。

……うん、この人、やっぱり愉快犯。




「あの馬鹿、本当にお馬鹿さんですよね!あー、本当に馬鹿なんだから!」

「超馬鹿連呼……」

苦笑いで、大爆笑する先輩を見ていたら、「でも、1周回って愛しいですよね、馬鹿って。」となにやらセクシーボイスで言う。

もう何なんだろうこの人。

訳が分からないよね。




「おいで。君の知りたい“答え”、教えてあげましょう。」

天真先輩の腹筋がようやく振動から解放された後、彼からそう告げられる。

「灰音はアトリエにいるんですね?」と確認の意味を込めて聞かれたので大きく首を振った。

そして、さっきから私の腕の中にいたモフモフの猫ちゃん問題については。

「おいで、チェーロ」と一声声をかけただけでチェーロちゃんはぴょこんと私の腕からすり抜け、先輩の腕に飛び込んだ。







「……」

「……」

「ああっ……イイッ……凄くいい!これこそ俺の求めていた美しき暁っ……!燃えるような、力強くも儚い朝焼けに天使の如く輝く青とのコントラスト……オロール・モン・アンジュ……このドレスの名前はオロール・モン・アンジュだ……!俺のエンジェル!」


床に散らばる大量の色鉛筆とくしゃくしゃになった紙の束。

私達が部屋に帰ってきたとき、その中で灰音は恍惚とした表情で、1枚の紙を見つめていた。

思わず一歩後ずさる。

あの可愛かった灰音は何処に行ってしまったんだろう……。



「灰音はこうなると、対象の媒体を奪わない限りは戻りません。」

そう言って、無理やりに紙を奪えば。



「あっ……何するのさっ!………………って、天?」



戻った……!

そこにいたのは通常営業に違いない灰音。

でも先輩に紙を取られたのに怒ってるのか、ぷくーっと頬を膨らませていて可愛かった。




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