SECOND プリキス!!
「とにかく恵に愛想を尽かしたわけじゃなくて……あの、私、灰音に連れられて来たんです。」
「灰音?………………ああ、ついに行動に移したんですね。」
暫く何かを考えた先輩だったけど、先輩的答えに辿りついたらしい。
その答えは私が知りたい答え。
「先輩……ミューズって、何ですか?」
ずっと知りたかった事を天満先輩に聞く。
長い沈黙が続いたその先には─────
「フハッ」
…………。
「アッハッ……フフッ…………フッ…アーッハハ……」
今までこらえてきた全笑いを爆発はせたような大爆笑。
……うん、この人、やっぱり愉快犯。
「あの馬鹿、本当にお馬鹿さんですよね!あー、本当に馬鹿なんだから!」
「超馬鹿連呼……」
苦笑いで、大爆笑する先輩を見ていたら、「でも、1周回って愛しいですよね、馬鹿って。」となにやらセクシーボイスで言う。
もう何なんだろうこの人。
訳が分からないよね。
「おいで。君の知りたい“答え”、教えてあげましょう。」
天真先輩の腹筋がようやく振動から解放された後、彼からそう告げられる。
「灰音はアトリエにいるんですね?」と確認の意味を込めて聞かれたので大きく首を振った。
そして、さっきから私の腕の中にいたモフモフの猫ちゃん問題については。
「おいで、チェーロ」と一声声をかけただけでチェーロちゃんはぴょこんと私の腕からすり抜け、先輩の腕に飛び込んだ。
*
「……」
「……」
「ああっ……イイッ……凄くいい!これこそ俺の求めていた美しき暁っ……!燃えるような、力強くも儚い朝焼けに天使の如く輝く青とのコントラスト……オロール・モン・アンジュ……このドレスの名前はオロール・モン・アンジュだ……!俺のエンジェル!」
床に散らばる大量の色鉛筆とくしゃくしゃになった紙の束。
私達が部屋に帰ってきたとき、その中で灰音は恍惚とした表情で、1枚の紙を見つめていた。
思わず一歩後ずさる。
あの可愛かった灰音は何処に行ってしまったんだろう……。
「灰音はこうなると、対象の媒体を奪わない限りは戻りません。」
そう言って、無理やりに紙を奪えば。
「あっ……何するのさっ!………………って、天?」
戻った……!
そこにいたのは通常営業に違いない灰音。
でも先輩に紙を取られたのに怒ってるのか、ぷくーっと頬を膨らませていて可愛かった。