センターマイクの君へ(仮)
リビングにいるであろう兄に帰りを告げた。
兄は一度は会社に入ったが、大学時代から少しだけしていた作家という職業をしたくなり1年としないうちに会社を辞めた。
辞めるきっかけになったのは、小説が評価され小さな賞ではあるが受賞しそれをきっかけにオファーがかかったからだ。
今はそこそこ有名な作家となった。
「おかえりルイ」
リビングにはいつものようにパソコンに向かい合ってる兄がいる。
「今日締め切りのは終わったんじゃないの?」
カバンをソファーに置き、熱心にパソコンに打ち込む兄に聞いてみる。たしか今日締め切りのは、朝終わったと言っていたはず…
「終わったよー!これは次の小説のテロップ…さっき、寝てたら思い浮かんでさ」
よく考えれば、締め切り前の兄がこんなににこやかにパソコンに打ち込むことなんてない…
「そっか、あんまり無理しないでよ?締め切り前で全然寝てないでしょ?」
「仮眠はとったよ!まだ寝足りないけどな」
軽く笑い、ラストスパートなのかパパパン!と早々と打つと「できた~」と開放された人のように手を挙げ床に寝転んだ。