センターマイクの君へ(仮)
◆◆◆ 花火 ◆◆◆
別荘から帰り、数日が経った。
トリは芸人の仕事で今家にはいない。ここにいるのは、兄とルイだけだ。
「あぁ~、寂しいな」
少し前までの兄と2人だけの生活のときの寂しいとはまたちょっと違う。トリがこの家にいることが当たり前のように思ってしまっていた。だからか、リビングに居るだけで孤独を感じてしまう。
いつもなら、一緒にテレビを見たり洗濯物をたたんだりして笑ってたのに…。
兄は今執筆中…。別荘に滞在していた間に積もった仕事があるらしく、ずっと部屋に籠もっている。
時計を見ればもう夕方の5時だ。トリは何時に帰ってくるとは言わなかった。
「ご飯はいらないのかな?」
まだ夕食を作り始めるには早い時間…でも、することがなければ早くても暇を潰したい。
「ルイ、ルーーイ!」
兄の声が部屋の中から聞こえてきた。なんだろうと、兄の部屋へと向かうと兄も部屋からこっちに向かっていたらしく廊下で出会った。
「何?」
「腹減った…」
「えー?まだ夕食には早いよ?」
「でも…、減りすぎて仕事に集中できない…」