【死選】
私は、突き落とされた瞬間
その突き落とした男を見た
全く見覚えのない顔であった
その男の顔は、決して忘れない


その男は、私を嘲笑うように見ていた


快速列車が近付く


 キィ〜〜〜


レールと車輪の金属音がきしむ


しかし快速列車は止まるはずもなく
私は、はねられた


その瞬間
私は見てはいけないものを見てしまった


彼女である
私は、列車に引かれ死ぬ直前に彼女を見てしまった


私は助かった
列車の下で、全くの無傷


そして彼女は、死んだ
駅のホームの上で


彼女の体は、ずたずたに引き裂かれた状態であった


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