【死選】
祖父はいつも通り、畑に向かっていた
ちょうど、きゅうりの収穫時期がきていた


夏の暑い日差しを避けるかのように、いちだんと大きめな麦藁帽子を被り
道の端っこをとぼとぼと、歩いていた


手には収穫したきゅうりを入れるためのビニール袋と
きゅうりを切り取るためのハサミ


私に食べさせて、喜んでもらいたかったのであろう


畑に行くには、見通しの悪い細い道を最後に横断しなければならない


祖父は、年のせいか
多少なりとも、耳を遠く、目も悪かった


祖父がその道を横断した時
一台のバイクが通り掛かった


 プップ〜♪


クラクションは鳴らしたようである
しかし祖父には聞こえない


そして…

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