【死選】
空は青く澄み渡り
太陽は真上にある
風は無く
夏が終わりをつげようとしている
気温は程よく、体に心地よい


ついに実行に移す時がきた
この日をどれだけ、待ちあびたことか


彼の乗ったバイクは、公道を物凄い速さで走っていった


私には分かっていた
今日彼は、バイクを数年ぶりに乗ったのである
つまり試し乗り
しばらくすれば戻ってくると


彼には、祖父が死んだ死に方と同じように、死んでもらわなければならない


勿論、私の能力を使い、そのように死んでもらうことにする


彼がバイクで走っているところに、私が突っ込み
私は死ぬ直前に、彼の顔を見る


本来なら、私が死ぬところだが
私の死を彼に代わってもらうのである


祖父の痛みを知ってから、彼には死んでもらう


 ブーンブーン


遠くに彼の乗るバイクのエンジン音が聞こえる
私の目論み通り、彼は戻ってきた

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