【死選】
私は茂みに身を隠し、その機会を待った
彼の乗るバイクが物凄い速さで向かってくるのが見える


私は、自分にこの能力があることに感謝した
祖父の仇討ち


彼が、近付く
彼に死が、近付く


今だ!


 ガーン ガチャーン
 ズルズルズルズル…


周りに、大きな鈍い音が響き渡った


私はぶつかる瞬間、彼と目があった
彼は驚き、ひきつった顔をしていた


私は大きく前方に飛ばされ頭を打ち
一瞬、気を失ったが
すぐ意識は戻り、平然と立ち上がった


彼の方はというと
私と衝突した衝撃で、バイクは前方がひしゃげ
バランスを崩し柔らかい茂みの中へと倒れた
本来なら、ほとんど無傷のはずである
しかし…


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