【死選】
しかし、問題があった
この犯罪者、かなり精神に異常をきたしており


隔離した病院から、しばらくは出ることが、ないということであった


しかも彼は、牢屋のようなオリに入れられ、外部との接触は限られたものだった


私は被害者から情報を集め、病院までは特定したが、はたしてどうしたものかと途方に暮れていた


ところが、協力者が現れたのである
その協力者は、この精神病院の医師


その医師は、日頃から精神異常者による犯罪が、無罪となることに疑問を感じていた


世の中には、私と同じことを考える人がいることに、私は安心した


医師は快く協力してくれた
犯罪者に裁きを下すことに


私は、病院関係者が少なくなる夜に
その医師の手伝いによって、犯罪者に会うことが出来た


オリの中の彼は、目はうつろ
口からは体液を流し
野獣のようであった


私に会うなり、手を振りかざし大声で徴発してきた


彼にはどのような死を与えるか、それは既に決まっていた


医師はオリの鍵を開け、私は彼のいる中に入った
そして、彼にあらかじめ用意しておいたナイフを渡した


彼は、ナイフを振りかざし
私に襲い掛かった
私はめった刺しにされ、そして死んだ
勿論、死ぬ直前に彼の顔を見てから


私の死と彼の死は、入れ代わり
彼は、ナイフによる殺傷で血だらけになって死んだ


裁きは、下された
彼の死は、自殺で決着された

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