やんきー劇団。
つまらない。
今日の天気は晴れのち曇り。
ニュースではそう言ってた。
でも、ちっとも曇りそうにないのは気のせいとしよう。
私、斉藤絵美はどこにでもいる女子高生。
ブスでもなく、美人でもない。
成績はいたって平均。
授業中、先生に当てられないかぎり、手はあげない。
居眠りはしないけど、授業を聞いているわけでもない。
髪の毛は生まれた時から黒。
スカートも膝丈。
こんなに平凡だと、たまにデブになって目立とうかと思う。
「あづぃ……」
汗の量まで普通だ。
せめてダラダラ流れてくれればいいのに。
ウワサになるんじゃないか?
「斉藤絵美、汗かきJK」ってな内容で新聞に載るかもしれない。
私はくだらない考えを巡らしながら学校へ向かった。
道がいつも通りすぎてつまらない。
「はぁ。」
短いため息を吐いて、華宝高校へ向かう上がり坂をグングン登っていく。
今日の気温は何だろう?
汗でシャツがペッタリ張り付いている。
「くっそ〜!イライラす…『おっはー!』
この馬鹿でかい声はルイだ。
「触んないで。イラつく。」
首に腕をまわしてくるルイをシッシッと追い払う。
それでも笑顔で腕を巻きつけてくる。
ルイは小学校の頃から何かと絡んでくる王子様系の男子だ。
きっと、私がルイの笑顔とルックスに見向きもしないから、こうやって毎日再挑戦してくのだ。
ま、そういう点では私は有名人なのかも。
ルイと一緒にいると、冗談抜きで女子の視線が痛い。
けっきょく私はルイを首に巻きつけたまま、ついに坂を登りきった。
そこには、いつものように建っている華宝高校の古い校舎。
そして、校舎には生徒たちがいる。
いつもと同じ。
つまらない。