やんきー劇団。

「おいってば〜!」

ルイが頭をナデナデする。

そんなのが私に通用すると思ったら大間違い。

「ルイ、そろそろ離れないと警察よぶよ。」

ルイはパッと離れた。

彼の家族が厳しい事は知っている。

だからルイはいつも席次1位をとるために徹夜してることも、

だからルイが警察沙汰になったら困ることも、全部お見通し。

「ふっ…。」

ルイの単純さが笑える。

腹黒いんだが純粋なんだがわからないヤツだ。

…それがちょっと可愛かったりする。

「安心して、ルイ。半径50センチ以内に入って来なければ警察よばないから。」

少し情けをかけてあげる。

私なりの優しさだ。

「えーーー、半径0.5センチにしてよ。」

ギリギリまで数を下げるところが市場のおばちゃんみたい。

「意味ないじゃんそれ。」

「だなっ!あははは〜っ!」

ルイが笑うと太陽の存在が薄れる。

でも、どの学校にもこーゆーヤツはいる。

学校の王子のような存在のキラキラ男子。

毎日女子に、キャーキャー言われるルイみたいなヤツら。

必ず1人はいるんだよね、どこにも。

そこが、つまらない。

私は変わった物に惹かれる。

それが自分にはない物だからかもしれない。

だから私、斉藤絵美は、今まで好きな人ができたことがないのかも。

オタッキーなヤツらは変わってる。

でも、どこにでもいるじゃん、オタクって。

オカマとかなら惹かれるかもしれない。

なかなか珍しいから。

でも、オカマどもは私を異性とみないから、ダメだ。

「はぁ〜。もうカマチョしないでよ?」

毎回同じセリフだ。

そして、帰ってくる返事も、

「ぜったい、諦めないからな!」

いつも、同じ。



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