やんきー劇団。
私はやれやれと頭をふりながら、ボロ校舎の中へ踏み込んだ。
クラスは2のB。
一階にあるから楽チン。
薄汚れた廊下を突っ切りながら考えていた。
将来、何しよう?
変わったことがしたい。
AV女優?
いや、きっとこの学校にいる大半のギャルがなるだろう。
じゃあ、殺し屋?スパイ?
私の運動神経じゃあ無理そう…。
せめて、なにか目立つ仕事がしたい。
刺激のある、目立つ仕事。
ざわざわとうるさいA組を通りこし、何人かと肩がぶつかる。
ごめんなさい、ごめんね、とテキトーに謝罪しとく。
どうせきいてない。
刺激のある目立つ仕事、何だろ。
また何人かとぶつかる。
そのとき、たまたま会話の一部が耳に入った。
「…ゎたしね、アイドルになるん……マスコミとかパパラッチ…毎日刺激的で…。」
私の心が、それだ!と叫んだ。
アイドル?無理だ。
でも、アイドルのマネージャーならできるはずだ。
テレビとかでも時々、大物俳優のマネージャーがチラホラ映るときがある。
それに、なによりも毎日刺激的だ。
アイドルのスケジュール管理をして、それを計画通りにいくよう、微妙な時間の調整などをしたり。
マネージャーはかなり大変そうだが、私はそれがいいのだ。
それに、自分が世話をしたアイドルが大物に成長するのを見守るのも、なかなか達成感が、あって楽しそう。
「マネージャー…いいかも。」
すぐにでもアイドルになると言った子を抱きしめて感謝をしたい気分だったが、やめといた。
頭が狂ったとは思われたくない。
でも、将来の夢が見えた今、どこか学校が少し面白くなった気がする。
私のなにかが変わったのかな?
口元に微かな笑みを浮かべて……。
笑みを浮かべた、絵美。
「ぷぷっ……。」
…やっぱ今日はどこか違う。
おやじギャグってこんなに笑えたっけ?
私はウキウキ気分でB組の臭い教室を入って行った。