終わりが欲しかったんだ、ずっと。
彼氏と別れた後、あたしはいつも耕平の家に行く。
なんだろう…
幼馴染だから、かな?
耕平の部屋は落ち着く。
落ち着くから、だから別れた彼の愚痴をつい零してしまう。
いつもの道、あたしは耕平の家まで足を動かす。
耕平の家の前に到着すると、あたしはいつインターホーンを鳴らさず、玄関よりちょっと右側にある部屋に向かって叫ぶ。
『こーへいー!』
あたしがそう叫ぶと、幼馴染の耕平が窓際に現れた。
『近所迷惑なんで、鳴らしてもらってもいいっすか?』
そう言うなり、耕平は窓際から離れ、あたしの位置からだと見えなくなってしまった。
『……なんだよ、返事するくらいなら玄関開けに来てよね!』
あたしはぶつぶつ文句を吐きながら、耕平の家のインターホーンを鳴らした。
鳴り終わると同時に、耕平が玄関から顔を出した。
『最初からインターホーンを鳴らせよ』
ちょっと不機嫌そうな顔で、耕平はそう言った。