「さよなら」って言って?

プライド

 気づけば朝だった。


床で寝てた。もちろん、星野さんを抱きしめたまま・・・。


俺は首だけ動かして窓の方を見た。

嵐が去ったかのように、快晴だった。

そう言えば、今日試合だ・・・。

出たかったな・・・・。


 って・・・そんなところじゃない!


 こんな所を誰かに見られたらマズイ・・・と思い、腕を抜こうとした。

星野さんの握りが強くて、抜けない・・・。

そんな焦ってる時だった。



 ガラガラガラ・・・。



 「おい悠馬!試合前に来てやったぞ。病院の前でさ渡部に会ってさ。一緒に来てやったぞ。・・・・って、ゲッ!!!」


 ば・・・ばれた。

「彼女?」

俺は首を一生懸命振った。


 ガラガラ・・・・。


 
 俺の視界に渡部も入る。


 「ささら!!」


「んん?」

星野さんは渡部の大声で起きた。

まだ、目をこすってる。


「あ・・・理沙・・・。おはよう。早いね?」

「おはようじゃないわよ!これ!どういうこと!?」


「あっ・・・これ?」

また星野さんは俺の腕をギュッと握った。


「・・・何だろうね?」

ってオイ!

昨日震えて病室に帰れなかったのは、どこのどいつだ?


俺が助けてやったんだろ!!!


「あんた・・・サイテー。」

渡部が俺に向かって言った。

サイテーって言われても。
どうにもできない。

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