「さよなら」って言って?
退院してから一週間、俺は一人で学校に行けるぐらいに足が回復した。
まだ、サッカーはできないけど、普通には歩ける。
あれから、毎日星野さんとはメールでやりとりしている。
まだ、あんな丘の上までいけないから、お見舞いには行けてない。
「おはよう。悠馬。」
「オハー。」
いつも通り楓とあいさつする。
「おはよう渡部。」
あの日から、渡部とはよく話すようになった。
「・・・・おはよ。」
「?」
今日渡部の様子がおかしい。
あいさつだけで分かった。
俺は、楓と目を合わせる。
「おい!どうした?渡部?」
「いや・・・、まだ、有田達には話せない。」
「まだってどういうことだよ?」
「・・・ゴメン。」
初めてみた。こんな暗い渡部。
渡部と話すときには必ず共通点がある。
『星野ささら』だ。
俺も決意して、星野さんに会いに行くことにした。
いつもの倍の時間をかけて丘を登り病院に行く。
前に伝えられた病室へ行く。
ガラガラガラ・・・
「星野さん?」
・・・いない?
そこには荷物も何もなかった。
「あのっ!」
近くの看護師に聞く。
「星野さんは?!星野ささらは?!」
「あっ・・・ささらちゃんはね・・・・」
俺はビックリした。
体調が悪くて病室を変えたらしい。
なるべく本人に会うのはやめて欲しいって・・・。
俺は寂しく家へ帰った。