「さよなら」って言って?

試合★ウソ

 ついに当日が来た・・・。


 俺は約束通り、蛍光色の下敷きを用意して、
病院の屋上に向かって広げる。


 あの豆粒は星野さんだろうか?

屋上にいる豆粒の人も何かを上げている。

 俺がプレゼントした、サッカーボールだ。

あれは・・・星野さんだ!


 俺は下敷きを降ろして、星野さんに向かってガッツポーズを見せる。


 星野さんもサッカーボールを降ろして、ガッツポーズを見せているように見えた。



「ささらも、よくやるよね?」

???

誰???

俺は振り返った。

「屋上で何時間も見て、倒れたらどうするんだよね?」

そこには、渡部がいた。

「・・・・。」

「しかもさ、さらに近くで見たいって、私をパシリに使うんだよー。」

渡部の手には、ビデオ。

「私は、保存用撮影だよ~。」

「・・・お疲れ。」

「ホントだよ。じゃあ、試合頑張ってね?」

「おう。サンキュ。」

 
 俺は渡部に手を振り、先生の所に行く。
 


試合開始まで、あと2分。


俺はもう一度屋上を見た。

彼女は手を振ってくれた。


 見てくれてる・・・。


俺は、熱で一杯になっていた。

やる気の熱と、緊張の熱。


さあ、そろそろ試合開始だ。
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