「さよなら」って言って？

どうでもいい。

部活に行かなくなってから、１週間半が経とうとしている。


俺は屋上にいた。


遠い病院の屋上を見ていた。


「何、部活サボってんだよ。」


後ろから聞こえる声に振り返る。楓だった。

「なーに。彼女に振られただけで、いじけてんの。」

うん。そうだよ。
と答えようとした。

んん?えっ?!

「おまぇ、なんでそれを。」

別れたことは誰にも言ってないはず。


「そんなの、見ればすぐわかるよ。」

「・・・。」

「・・・で?別れたことに、不満でも?」

「別れた理由がわからない。」

「なんじゃそれ。」


楓は隣で爆笑した。

「会いに行って、確認すればいいじゃん。」

「できない。別れるとき、凄く苦しそうな声してたから。」

「・・・。」

楓が何か考え出した。

「なぁ?」

「ん?」

「これは、俺の考えなんだけど。」

「・・・。」

「お前との恋より、女の友情を優先したんじゃ・・・。」

俺は頭の中がハテナで埋め尽くされた。


「どういうこと?」

「お前に、あまり言いたくないけど。渡部、たぶんお前のこと好きだぜ?」

俺の頭の中でも、話が繋がった。

「・・・っ!」

「いいですねぇ。モテ男は。」

俺は、何かに気づき楓を見た。

楓は・・・涙を流していた。

「楓・・・・。」

「俺、あいつのこと好きなんだよ。なのに、あいつはお前のことばっか。いいな・・・お前。」

俺は、初めて知ったことが多すぎて、整理が追い付かなくなっていた。


「俺は、お前より早くリア充になるから。」

楓の言葉に俺は振り向いた。

「渡部を振り向かせて見せる。・・・だから、お前も頑張れ。」

目の回りが真っ赤な楓は、無理矢理笑って見せた。