「さよなら」って言って?

片思い。

次の日。
あんまり眠れなく、学校に着いた。

・・・眠い。

しかも、あんな話を昨日聞いたから、気まずい。
楓とも、渡部とも。


「おはよう。」
渡部から話しかけてきた。
「おはよう・・・渡部。」

「どうした?なんか変。」
「いや・・・。」
「ふぅん。」
「あっ!・・・。」
「ん?」
「は・・話がある!」
言ってしまった・・・。

「・・・・うん。」
渡部は急に乙女らしく、緊張しだした。



「あのさ・・・・。」
やっぱり言葉が出なくなった・・・、俺。

「あのさ・・・私も話があるんだ。」
渡部が話を引っ張ってくれた。

ここは屋上。昨日楓と話した場所だ。
ここからは病院も見える。

「先・・・いいなよ。」
俺は言いにくくなって、渡部を先にした。

なんとなく言われることは分かっていた。
分かっていたけど・・・。どう答えれば・・・。

渡部は下を向いたままで、手は強く拳を握っていた。

何か振り切ったかのように勢い良く俺の方を向いて。

「私、有田の事好きだったんだよね。」


うんうん。だよな。

って、え!?

好き『だった』?

過去形?

予想外の言葉。

「でもさ~。ささらが大好きそうだから。私はあきらめる。やっぱり、友情を優先した!」

異常に明るい渡部。なんか変。

「でも、俺たちは・・・。」

別れた。
そう言うつもりだった。

「有田、やっぱり知らないんだね。ささらが別れたいって言った理由。」

「・・・?」

知らない。
星野さんとの電話は、理由も聞かずサヨナラで終わった。

「有田と別れた理由は、・・・死んでいくところを見られたくないからだよ。」

「は?なんだよそれ。」

意味がわからない。
死ぬ?
そんなの、俺たちはまだまだ先の話じゃねぇか。


そんなことを考えて、気づいて渡部を見たときには、もう泣いていた。

「ささらは、ただの体が弱いだけじゃない。」

「は?」

昨日に引き続き整理のできない話が始まった。

「ささらの余命は、・・・余命はあと2ヶ月なんだよ。」

渡部が泣き崩れた。

余命・・・2ヶ月。

あんな動き回って屋上に毎日いくような奴がか?
ありえねぇ。いや、信じたくねぇ。

「・・・い・・意味わかんねぇよ。」

俺はどうしようもなく、屋上を後にした。
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