路地裏物語屋
…………………世界には不思議な事があるものだ。
峯尾の家が火事にあってから少し経った。
正確にいえば、峯尾の家だと信じられていた家が焼けてからだ。
警察が調べた所、
この家には峯尾という老人が住んでいただけで海という人物は存在したかったらしい。
もう1つ驚いたのは、その老人がパズルを集めるコレクターだった事だった。
俺は、焼けた家の跡地に来ていた。
少しでも、海という少女が存在していた形跡を探したかったのである。
俺はまだそのままになっている焼けた柱を少しどけて、あの日のように涙をこぼす。
そこにあったのは、
1つのパズルのピースだった。
美しい、透き通った青をしていた。