路地裏物語屋
とりあえず、お兄ちゃんがこうなってしまった以上僕にはどうにも出来ない。
おかーさん達が帰ってくるまでにお兄ちゃんなおるかな?
僕がそう悩んでいると、お兄ちゃんが服の袖を引っ張ってきた。
「どーしたの、お兄ちゃん。」
ずいぶん小さくなったお兄ちゃんの目線に合わせてしゃがむとお兄ちゃんは高い声で言った
「お腹すいた!」
そうだった。今は僕がお兄ちゃんなんだった!
僕は料理が苦手だけど、少し頑張ってつくる事にした。
朝ごはんだから………
「ゆーた!めだまやき焦げてる!」
10分後、急いで作った目玉焼きは、うらがすっかり焦げてる。
お兄ちゃんはそのまずいであろう目玉焼きをポロポロこぼしながら、食パンと一緒に完食した
「おいしかった!ゆーた、ありがとう!」
何につけても、きちんとお礼を言うのがお兄ちゃんの癖だ。
それを聞いたとたんに僕は、いつものお兄ちゃんが恋しくなった。