路地裏物語屋
夕方、もう誰もいなくなった教室で峯尾に聞いた。
峯尾の青い目は夕陽の色を受けて、紫色っぽく輝いている。
「…………」
「……………俺を構っても良い事ないだろ。」
少しの沈黙。
5秒ほど開けて峯尾は口を開いた。
「パズルが好きって言ったから。」
ますます訳がわからない。
俺は困惑した。
また彼女の唇が言葉を紡ぎだす。
「私は………実はパズルなの。」
峯尾が言った言葉は、信じられないものだった
「私はこの前まで確かにパズルの1ピースで海の絵の一部だったの。」
「……信じられる訳ねぇだろ。」
「けど、本当なの、パズルが好きって言ったから嬉しかったの。」
そう言って笑う峯尾の顔は幸せそうだった。
けれど……………………
「ふざけんじゃねぇ……!俺の事、バカにしてんだろ。」
峯尾の顔が変わった。
「違うよ!……バカになんかしてない!」
「嘘だ!結局、峯尾もクラスの奴らと一緒じゃねーか!俺の事、気持ち悪いんだろう!ほっといてくれよ、もう嫌なんだよ!」
峯尾の青い目から涙がこぼれた。
俺は峯尾をひどく傷つけた。
何故か、俺の目からも涙が溢れた。