俺、兄貴になりました②
「ただい…」
「「おっかえりーー!!」」
ドアを開けた瞬間俺の目に飛び込んできたのは、満面な笑みを浮かべた兄弟だった。
「お前ら、なんで玄関にいるんだよ」
呆れたように苦笑いする翔にぃに、慶と尚が答える。
「だって翠にぃが帰ってくるか心配だったし」
「翔にぃがやらかすかもしれなかったしねー」
はははっと笑うみんなの顔を見て、なぜか涙がこみ上げてきた。
涙を堪えながら俯いていた俺の肩に、ポンっと手が置かれた。
反射的に顔を上げると、恋にぃが優しい笑顔を浮かべていて。
「翠、おかえり」
優しい声で、そう言ってくれたんだ。
おかえり
もう一度その言葉を聞いた瞬間、涙が溢れて止まらなくなった。
「うぅ……っ…」
「あー!恋にぃ泣かしたー!」
「泣かしてない。翠が勝手に泣いた」
「泣かしてんじゃん!」
俺、やっぱりこの家が好きだ。