俺、兄貴になりました②
あの頃の俺たちは、親に絶望し、大人に絶望し、人生を恨んでは悲しみ、
光の当たらない場所で生きてたんだ。
何もかもが嫌で。
何一つ信用できるものはなくて。
何かに頼ることさえもできなかった。
母子家庭の上に、その母親は仕事でいつも家にいなくて。
お金をやりくりするのも、家事をやるのも恋にぃと蒼にぃ。
きっと想像以上に辛かったと思う。
弟の俺たちは好きなように、好きなことをやっていられたけれど、心の底から楽しんだことはなかった。
だって、にぃ達を犠牲にしてまで笑えなかったから。
俺たちのために頑張って芸能活動して。
俺たちのために自分の心を殺して。
テレビに映る自分達を見ては光のない目をして、ただ黙って離れていく姿をずっと見てた。