俺、兄貴になりました②
なんて暖かく笑う人なんだろう。
まるで陽だまりのよう。
そう思ったのは、俺だけじゃなかったはず。
この人に出会ってから、俺たちは驚くほどに変わっていった。
まず、あんなにもわがままを我慢していた尚と慎が、会ったその日からわがままを言うようになった。
アイスが食べたいなんて、今まで言ったことなかったのに。
あの気難しい雷にぃと煌にぃでさえ、その日に心を開いた。
この人は一体…。
それから俺たちが翔にぃに懐くのはあっという間だった。
翔にぃの暖かさに触れ、優しさに触れ、氷のように冷たくなった俺たちの心は、少しずつ溶かされていったんだ。
「陽、どうかしたか?」
夕飯の準備をしている兄弟が、俺を不思議そうに見る。
「何でもないよ」
そう言って輪の中に入っていく。
今ではあの頃の思い出が懐かしいとも思う。
あんなに絶望していたのに。
光なんてなかったのに。
今ではそれがうそみたいだ。