【短】SKY*
あたしはいつの間にか龍の腕の中。


俺ね、と急に龍が語り始めた。



「ずっと空見てた。」



あたしの心臓とは逆に静かに話す龍。



「この空の下に悠恵はいる。

 この空の下で笑ってる。

 この空の下で待ってるって。」



顔を上げると龍はにこっと笑った。



「待っててくれた?」



あったりまえじゃん、バカ。



コクリと頷いてみせる。



すると龍は勢いよくグシャッと、



「可愛いコトすんなッ!!」



あたしの髪の毛を崩していった。



その時の龍の顔は今までにない位



りんごのようだった。



< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop