隣のあなた。
着いたのはホテル。
ホテルの一室で遺産相続の話をするという
私には、遺産なんか必要ない。
ただ、普通に暮らして行きたいだけ。
「こちらで皆様がお待ちです」
そう言って扉が開く。
「水島紗織様をお連れいたしました」
今宮さんが先導してくれる。
親戚だろう、方々……
私を見る目が鋭い。
『初めまして、水島紗織です』
私が挨拶をしても
誰一人、私の方を見ない。
本当に母の兄弟なのかと思ってしまう。