隣のあなた。
「あの人とは?」
あの人……
ある日、雨が降っていて
私は傘を忘れてしまい
駅から小走りでアパートに向かっていた
公園を通り過ぎようとした時
『にゃー』
鳴き声に気がつき
私は足を止めた。
鳴き声の方を見ると
雨に濡れた男の人が
ダンボールに入った猫を撫ぜていた
「……お前も…ひとりか?」
「わかった、わかった」
そう言って、男の人は猫を抱きかかえ
私の方へ歩いてきた
私に気がついた男の人は
ふっと笑い、そのまま歩いて行った。