そのドアの向こう側
ふとしたきっかけ

ことの発端



ミーンミンミンミーン

ジジジジジジジジジ…



「蝉。すごいね。」

前にある森をぼんやり見つめながらあたしがつぶやく。

「……」

一個年下の弟、陵は「はなしかけんな」という雰囲気で前を歩いている


陵がそんななら話しかけんのヤーメタと足元にある小石を蹴る。


きっと陵が怒ってるのはさっき川に仕掛けた魚を獲る装置になにも引っかかってなかったからだろう。

だからそこは場所が悪いって言ったのよ


と私は悪くないというように自分に言い聞かせる。

いや。でも本当に私悪くないし!




私と弟は夏、暇さえあれば家から自転車で40分程の紅緑川という所に遊びに行く。

暑ければ川に入って遊ぶし、魚を捕りたい気分なら魚をとって家に帰る。

今日は魚を捕りたい気分だった。

主に陵がだけど。


少し陵が早歩きになったので
私も暑さで重い足を引きずるようにまた紅川へ歩いていった。








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