そのドアの向こう側
また少したって、疲れたからお茶を飲もうと後ろのカバンのある方を振り返ると、目の隅にキラっと光るなにか金属みたいなものを見つけた。
どうやら川の底にあるようで、網と手を巧みに使って取ってみると。
それはいままで見たこともない鍵だった。
その鍵は、フランスパンの少し焦げた所のような色をしていて、私の人差し指分くらいの大きさだった。
そして鍵の丸い部分の右下に良く分からない文字が書かれていた。
よく見ると漢字で、一文字目は[紅]、二文字目は汚れててよく見えなくて、その後はカタカナで[コウロ]と書いてあった。
──なんだろ。これ。
どっかの家の鍵かな。でも私の家の鍵と全然違う…。
すこし考えて、後で交番に届けておこうかな、とズボンの左ポケットにその鍵を突っ込んだ。
そのすぐ後、向こうで何やら叫んでいる陵の声が聞こえたので近づいてみると、
「捕れた!捕れた!2匹!!!!」
というハイテンションな陵の声が聞こえたので、もう戻ることにした。
バケツを覗くとクチボソという魚2匹と、小エビが数匹、2センチくらいのハゼが4匹入っていた。
なんだ、結構取れてんじゃん。と口に出すと
「いつもはまだ捕れるし」
とそっぽ向かれてしまった。