恋愛ドクター“KJ”
 「これは簡単ね。
 あの二人は会社の同僚。男性の名前は“岡本さん”。女性が“渡辺さん”
 二人は仲良しで、“いい感じ”の関係。でも、まだ付き合っていないわね」
 自信たっぷりにアスカが答えた。

 「そうかなあ。俺は、あの二人はあやしいとおもうな。きっとデキてるよ」
 横から一也が口を挟んだ。
 「だって、あの話し方っていうか、雰囲気っていうか、座っている二人の距離も近いし、デキてるよ。ぜったい!」
 一也には一也の読みがあるらしい。

 「バカね。一也は聞いてなかったの?
 さっき、男の人が食事に誘ったとき、女性が喜んでたでしょ。
 あのとき、
 『岡本さんと二人で食事に出かけていいんですか~』って甘えた声を出したでしょ。
 つまり、まだ、あの二人はデキてないのよ」

 「ああ~。そうかぁ‥‥。
 そういえば、そういってたなぁ。そっちが正しいな‥‥」
 一也はあっさりと自説を取り消した。


 きょう一日、KJにいいように遊ばれムシャクシャしていたアスカだったが、いつの間にか機嫌も直って表情は明るい。

 「どう。KJ。私の想像に間違いはないわよ」
 胸を張っての言葉だった。
< 13 / 59 >

この作品をシェア

pagetop