恋愛ドクター“KJ”
 「うん、何ていうかな。あのホームルームはヘンだったから良く覚えている。
 あのときKJは、クラスの皆に、『北海道なんて寒いだけだ。沖縄は暖かいし、泳げるし、米軍基地もあるから、絶対に沖縄にいこう! 北海道に行きたがるのはバカだけだ!』って、そんな意見を出したんだ」
 3年前を思い出しながら‥‥といった顔つきで、一也が話した。

 「えーっ! なにそれ? メチャクチャじゃない。
 そんな意見でクラスの皆を説得しようなんてありえない。
 なんで、それで100%コントロールできるっていうの」
 アスカは呆れ顔で答えた。

 「うん。ヘンだよな。俺もKJっぽくないなあって思った。
 KJなら、もっときちんとした意見をいうはずだから。
 でも、あの時はメチャクチャいってたよ。少しおもしろかったな」
 思い出し笑いをした一也は、話を続けた。

 「でも、本当に不思議だったのは、多数決を取った時だぜ。
 議長が、『北海道へ行きたい人は挙手をお願いします』っていったら、KJは手を挙げたんだ。
 あれ~。どうなってるんだーって、クラス全員が騒いてた」

 「なに? なんなのそれ?」
 そういいながら、アスカはKJの表情を見た。


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