小指を絡めて明日を望む
悠哉は大人である。二十歳を過ぎた立派な。
それにたいして私は子供。十七の、女子高生。悠哉に買われた、哀れな女子高生である。
つまりそれは、売春。あるいは、援助交際。立派な犯罪である。
自覚はしているが、悠哉といるとぱっとしない。悠哉は手を出してこないし、コスプレをさせて写真をとるとか、下着を欲しがる、というわけではない。ただ、買っただけ。
普通、危険だとわかっていて買うなら、それだけの目的があるはずだった。体とか、下着とかそういうのが。ただ、彼は話すだけ。本当にそれだけなのだ。
だから会っても、ただ知り合いに会っているような気なのだ。
どういうつもりなのだろう。
「美穂乃」
名前。
一日に名前を呼ばれることがない、だなんていつものことだが、悠哉はいつも名前を呼ぶ。一番最初の「君」以降は、ずっとだ。