The past kept secret~解き放たれる現実~
 忘れきっている、という言葉と覚えてないか、と言葉と先程からの接触している、という言葉を組み合して考えてみれば、友里香は過去に人影と接触したことがあることは正解と思って正しいようだ。
 そして新たなキーワード。
 レネスト様。
 「様」を付けて呼ぶことは、人影よりも位が高いようだ。「レネスト様の言う通り」という言葉から、この人影は、友里香が人影の存在を忘れてしまっていることを知っているようだ。
 「……忘れていることを、知っている。あなたはいったい何者なのよっ!?」
 「改めて自己紹介。レーネスの1人≪狂わす鎌≫のミネルさ」
 「……≪狂わす鎌≫ミネル……?」
 レーネス。
 ≪狂わす鎌≫ミネル。
 ミネル、という名の人物が「レーネスの1人」というところから、レーネスというのはグループ名みたいなものらしい。先程ミネルが言った「レネスト様」も、きっとレーネスというグループの1人なんだろう。
 ≪狂わす鎌≫とは、きっとコードネームみたいなものだろう。
 「≪狂わす鎌≫ミネル……ね」
 「まさかボクのこと思い出したとか?」
 「生憎だけど、全然記憶にはないわ。いつ接触したか覚えていないけど、どうせ幼いときでしょう?その時の記憶だけはないから。ていうか、覚えていないだけだから」
 「やっぱりそうなんだ。いや、そうじゃないとおかしいからね」
 「……!?」
 そうじゃないとおかしい?
 まるで、友里香はミネルのことを忘れていなければいけない、みたいなことになっている……?
 「なんで忘れているの……?忘れていなければいけない、とかそんなこと……」
 「ま、いっか。こんなこと、ボクのプライベート的なことだし、そろそろ本題に入ろうか」
 ミネルはそう言うと、懐(ふところ)から、ミネルの身の丈以上の長さの鎌を取り出した。
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