The past kept secret~解き放たれる現実~
 「ここからが本題。そろそろ返してもらわなきゃいけない時期になったんだってさ」
 「……は?」
 友里香には解釈ができない言葉を発して、ミネルは鎌の刃を屋敷の天井に掲げた。瞬間、鎌は黄金色の光に包まれた。
 「今からやることは、ほんの欠片にすぎないよ。だけど……命令だから」
 ミネルの目が、真剣になっていた。
 そして、掲げた鎌を構えたミネルは友里香に襲いかかってきた。友里香は反射神経でミネルの鎌での一振りを回避する。
 「……いきなり戦う気?」
 「戦闘する気は全くないよ。ただ、これは命令だからやるだけ」
 「……命令、て……」
 「命令は命令。痛くもないし、死んじゃうわけでもないからさ、この光が消える前に攻撃を受けてよ」
 「そんな冗談、通じるわけがないでしょ?そんな攻撃を受けたら死ぬにきまってんでしょっ!?」
 「ボクを敵だと思ってるの?大丈夫だよ。大切な人、て昔キミが言ってた人のところに会いに行けるんだからさ」
 大切な人。
 過去のことは覚えてはいない。過去のことだから、どうせ大したことも言っていないんだろう。
 「スキルだけは残っているんだから。こっちも本気でいくよ」
 瞬間、ミネルの攻撃スピードが速くなった。今までの回避で精一杯だった友里香は、体力の消耗で回避スピードが低下している一方、ミネルの攻撃スピードは速くなっていくばかりだった。
 「……また会えるよ。覚えていれば」
 「……!!」
 汗を流している友里香の背後にミネルがいた。
 「しまった……!!」
 そして、背後から血が吹き飛んだ。
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